自衛隊の広報マインド
昨日は、とっても楽しみにしていた広報寺子屋でした。TBSの「空と飛ぶ広報室」の柴田恭兵さんが演じた鷺坂正司のモデル、元航空自衛隊 航空幕僚監部・広報室長の荒木さんの勉強会に参加してきました。
(わたし、このドラマすごく好きだったのです)
荒木さんが、広報未経験で着任してからの2年間、航空自衛隊のブランド向上にどう貢献されたのか?また航空自衛隊という大きな組織において、リスクが実際に発生した際にどうされたのかなど非常に貴重なお話を伺うことができました。
今回のテーマは、【自衛隊の考える広報マインド】
自衛隊広報室に求められることは、自衛隊が任務を円滑に遂行できる環境を創ることだと荒木さんはおっしゃっていました。正しい情報を発信し、説明責任をもつことで、国民の理解・信頼を構築していくことが彼らの任務なのです。今回の小説化も単なるイメージアップではなく、国民や自衛隊含めなどの各ステークホルダーからの信用・信頼を得ることがゴールであり、ブランド化の一貫なのです。
ブランド化は信頼の確立により実現される、と荒木さんはセミナーの中で何度もおっしゃっていました。
彼らの売り物といえば戦闘機や戦艦などになってくるわけで、実際のメディアからの協力依頼はそういった商材の機動要請が多いそうです。確かにインパクトもあるし、かっこいいですね。でも荒木さんはずっと、「人を助けたい」「役に立ちたい」と思う自衛官の想いや姿をもって世の中に知ってらもいたかったそうです。その想いが、「図書館戦争」などを手がけている小説家の有木さんとの出会いにより小説化が実現したそうです。(荒木さんは出会いを大事にしているそうで、ご縁というものを大事に遠方でも人に会いにいったりするそうです。)
自衛隊には【広報専任】という人は存在しておらず、他の業務を兼務している方が多いそうです。実際に荒木さんの元部下いらっしゃっていた方は、広報室でブルーインパルス担当する傍ら、松島救難隊長として救助などの職務もされていたそうです。
印象的だったのが、彼らは広報を任務の1つとして捉えていた点です。自衛隊の広報はだいたい2,3年で人が入れ替わるそうで、長年広報としてキャリアを積んでいる人がいたり、特別な教育を受けているわけでもないそうです。
彼らにとって広報は任務の1つであり、与えられた期間の中で実績をつくり、成果をだしていくことを目的として取り組んでいます。そのことについて荒木さんは、「(パイロットとか経理とかは別になってきますが、)問題解決の手法はほぼどの職種も同じ。ただそれをやるための専門的な手続きを学び、組織を動かしていくことが大事である」とおっしゃっていました。
それを聞いて、社外で「まだ広報暦2年なんです」って言葉で逃げや甘えをつくっていた自分を恥ずかしく思いました。どんな仕事にも真摯に向き合い、経験値に関係なく、その中で最大の成果を出そうとするマインドが重要だなと気づかされました。
ドラマの中で、荒木さん演じる柴田恭兵さんが、「意志あるところに道はひらける」というセリフを常におっしゃっていましたが、実際に荒木さんが普段言われていることだそうで、この言葉の意味がよくわかりました。
残りは、ポイントを箇条書きでいきたいと思います!
・総論賛成・各論反対に負けない
上司とか「それいいじゃん」って企画には賛成するが、実際の動きになると異議をとなえられることもあるけど、そんなことにはめげない。
・広報は裏方
売るものは組織。輝かせるのは組織であって、広報自身ではない。やばい的に出るのが広報。それが組織的な信頼を勝ち取ることになる。
・心意気の広報
PRをやると雪だるま式に仕事が増えていくし、「どうしてわたしが?」と思うことがあっても、組織的な信頼関係を創るため、広報は心意気で仕事をすることが大事。
・リーダーの仕事は正しい方向性をし、部下の環境を整えること(自ら動き・根回し・トップを押さえる)
現場がなんとかしづらいのが、決裁者の承認をえるところ。自衛隊ともなると大臣の許可がいることもあるので、リーダーがきちんと根回しすることは大事。また、部下に「ここまではOKだけど、ここを超えるとNG」という線引きを部下にをきちんと示すことで、都度都度の部下からの確認も減るそうです。
・勇猛果敢・支離滅裂
スピード・柔軟性をもってメディアに対応。
・チームワーク
部署を分けたり、異なる部署とは対立することが多いが、組織的に活動することが重要。
・広報≠広告
単なる情報発信によるパブリシティではなく、メデャイとwin-winに繋がるパブリシティを追求するのがメディアリレーション。お酒はそのための潤滑油であり、メインではない。
・良いことだけど発信する仕事ではない(危機管理部署である)
荒木さんの頭には、戦闘機が落ちた時の危機管理をどうしようという考えがいつも頭の中にあったそうです。守りの広報があってはじめて、攻めの広報ができる。なので危機管理は広報の最も重要な要素。広報は、全部の情報を知った上で、何を出して出さないを判断する要の部署。なので組織の核心につっこまないと何もできない。
ざっとですが、大事だなと思ったところまとめてみました。浅い言葉ですが、勉強会を通じて自衛隊の方ってすごいなって思いました。命をかけてお仕事をし、若いころから背負っているものも大きく、心身ともにきついこともたくさん乗り越えられてきたんだと思います。勉強会には3名いらっしゃったのですが、言葉1つ1つになんとも言えない安心感と、初対面なのに信頼を感じるような、そんな素敵な方々でした。
今回の勉強会では大切な気づきがあり、非常に学びの濃い時間でした。ちゃんと学びに変えていこうと思います。広報寺子屋の皆様、貴重な機会をありがとうございました。
荒木正嗣(あらき まさつぐ)さんに関する記事はこちら
■BuzzFeed~航空総隊幕僚長、キラキラ広報(※)に物申す 『空飛ぶ広報室』のモデルが語った
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